カードローンと留学の関係

派遣社員として働き始めてかれこれ10年。派遣は時給がいいので、さぞかしいい収入があるのでしょうと思われているようですが、実際はそんなこともありません。確かにアルバイトやパートなどに比べれば、一般的に時給は高いのですが、都会で一人暮らしをする身分にとって、毎月の家賃におよそ6万円、光熱費や食費を入れたら、生活費だけでも10万円ではたりません。通勤にかかる交通費も給料の中から支払わなければなりませんし、仕事に着ていく洋服代だって、結構な金額になります。特別ぜいたくさえしなければ、生活そのものには困りませんが、貯金をするほどの余裕はないのが現状です。

「貸したお金は返ってこないと思いなさい」子供の頃から親にそういわれて育ったので、お金を借りることにはなんとなく罪悪感がありました。確かに、以前友達に100円を貸して、いつまでたっても返してもらえなかったことがありました。たった100円だから、催促するのもかえって気が引けて、結局そのまま何もいえずに終わってしまったのです。友人も、悪気があったわけではなく、借りたことを本当に忘れてしまったのでしょう。わずかな金額ですから、よくあることだと思います。そんな子供の頃の経験もあって、お金を借りるということには、なんとなく後ろめたい印象がつきまとっていました。幸い、余裕があるとはいえないまでも、今まではお金を借りなければならないような、深刻な状況になったことはありませんでした。派遣とはいえ、地道に毎日働いてさえいれば、定収入も見込めます。英会話スクールにかよう程度で、他にそれほどお金のかかる趣味もありませんし、グルメでもありません。自分には、一生借金なんてあるはずがない、そう思っていました。

あるとき、登録している派遣会社のホームページで、留学制度があることを知りました。3ヶ月間という短い期間ですが、アメリカのシアトルにある語学学校への留学ができ、しかも学費やホームステイ代金は、派遣会社が負担してくれるという制度です。もちろん厳しい選考を勝ち抜いた人だけが行けるものです。募集は全国規模で行われますから、競争率も相当なものでしょう。実は、以前からもっと英語を学びたいと思っていました。短大の専攻は英文学でしたし、それなりに英語に興味はもっていましたが、派遣でキャリアを積むにつれ、英語に対する学習欲はどんどん増していたのです。しっかりとした英語のスキルがあれば、派遣で働くにしても、仕事の幅が広がります。一般の事務に比べ、英文事務になるともちろん時給もかなりアップします。専門性が高い分、仕事の条件はとてもよくなります。まさか自分が選ばれるわけはないと思いつつも、とりあえず応募だけはしてみよう、そう考えて、応募に必要な作文を書き始めていました。ここから、留学とカードローンのストーリーが始まったのです。

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